個人債務整理

個人の債務整理にはいくつかの方法があり、それぞれメリット、デメリットがあります。

(1)自己破産:支払いが不能な時債務者自身の申立てで行う手続きです。免責許可決定を受ければ破産債権に関し支払責任を免れます。破産手続開始決定の時から効力を持ち、以後の給与等は破産財団に属さず自由に使えます。破産財団に属する資産(不動産等)を手放さなければならない事、警備員等の一定の資格制限のある職業では免責許可決定が確定するまでその職に就く事が出来ない、等の不利益があります。

(2)個人再生:経済的に窮地にある個人が、住宅ローン等回収見込額を除く負債総額が5,000万円以下で、将来一定の収入の見込みがある場合に利用できる手続きです。債務額を大幅に圧縮する再生計画認可決定の確定で権利変更を行うものです。債権者の消極的同意(不同意債権者が半数未満で不同意債権額が半額以下)が必要な小規模個人再生と、債権者の同意が不要な給与所得者再生の2つの手続きが存在します。住宅ローンだけを別扱いにし、家を残す住宅資金特別条項を定める事も可能で、現有不動産を清算する必要がなく、法律上の資格制限もない手続きです。原則3年間で再生計画に従って返済を行います。

(3)任意整理:債務者の支払能力を基準に3年間で返済できる資力がある方が利用できる手続きです。過去に利息制限法を超えた利息でサラ金等から借入をしていた場合は過払金の返還請求も行えます。一括払いの場合の減額を除いて利息制限法上の残元金を支払う事を基本とします。経済的な負担が大きい、債権者の1社でも応じないと債務整理が終わらない等の点もあります。過去にグレーゾン金利で借りていた方は過払金の返還を求める事も検討致します。

(4)特定調停:特定調停による調停を求める旨の申述を簡易裁判所に行う事で開始します。調停委員が負債、収支から支払可能額を計算し、それに基づき調停条項案を債権者、債務者双方に提示します。債権者の同意が得られないと強制力が働きません。調停委員は債務者の代理人ではない為、本人申請の場合利益を守れない事も起こりえます。調停成立日までの利息・遅延損害金が付加される、調停が成立すると債務名義となる為、支払いを怠ると強制執行を受ける恐れがあります。

(5)相続放棄限定承認:別紙をご確認下さい。